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年収が上がったのに手取りが減った?その理由と対策をやさしく解説

はじめに:年収アップ=手取りアップじゃない?

「去年より年収が上がったのに、なんだか手取りが減ってる気がする…」 そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

実はこれ、気のせいではないかもしれません。 年収が増えると、税金や社会保険料も増える仕組みになっていて、あるラインを超えると「手取りが逆に減る」という現象が起きることもあるんです。

私自身、昇給のたびに「やった!」と思ったのも束の間、月々の手取りを見て「…あれ?」と首をかしげた経験があります。 今回は、そんな「年収アップなのに手取りダウン」の理由をやさしく解説しながら、少しでも手取りを守るための工夫もご紹介します。

手取りが減る理由:見えないコストの増加

年収が上がると、当然ながら税金や社会保険料の負担も増えます。 でも、その増え方が意外と急で、手取りに大きく影響することがあるんです。

1. 所得税・住民税の増加

所得税は「累進課税」といって、年収が高くなるほど税率も上がる仕組み。 住民税も、前年の所得に応じて計算されるため、昇給の翌年にドンと増えることがあります。

2. 社会保険料の段階的上昇

健康保険や厚生年金などの保険料は、年収に応じた「等級」で決まります。 この等級がひとつ上がるだけで、月々の保険料が数千円単位で増えることも。

3. 控除の縮小・消失

配偶者控除や扶養控除などは、年収が一定額を超えると使えなくなる場合があります。

たとえば、年収850万円を超えると「所得金額調整控除」がなくなり、税負担が増えるケースも。

年収別シミュレーション:どこで手取りが逆転する?

では、実際にどのくらいの年収で「手取りが減ったように感じる」現象が起きるのか、ざっくりと見てみましょう。

たとえば、年収が400万円から500万円に上がったとします。 一見100万円のアップですが、実際の手取りは「100万円まるごと増える」わけではありません。 税金や社会保険料の負担が増えることで、手取りの増加はその半分以下、場合によっては数万円しか変わらないことも。

さらに、年収850万円を超えると「所得金額調整控除」がなくなり、税負担が一気に増えるラインに突入します。このあたりになると、「年収は増えたのに、去年より手取りが減ってる…」という逆転現象が起きやすくなるんです。

また、配偶者がパートやアルバイトをしている場合、「103万円の壁」「130万円の壁」「150万円の壁」など、家族全体の手取りに影響するラインも複数あります。 これらを意識せずに働き方を変えると、思わぬ形で手取りが減ってしまうこともあるので注意が必要です。

対策と工夫:手取りを守るには?

では、どうすればこの“手取りの落とし穴”を避けられるのでしょうか? いくつかの視点から、できる工夫を紹介します。

1. 控除を活かす

iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になるので、節税しながら老後資金を準備できます。 ・ふるさと納税:実質2,000円の負担で地域の特産品がもらえるうえ、住民税などが控除されます。 ・医療費控除や住宅ローン控除も、条件に合えばしっかり活用したいところ。

2. 家族の働き方を見直す

配偶者の年収が「壁」を超えると、世帯全体の手取りが減ることも。 働き方を調整するか、逆にしっかり超えて社会保険に加入するか、ライフプランに合わせて選ぶのが大切です。

3. 福利厚生や企業型DCの活用

会社によっては、保険料補助や退職金制度、企業型確定拠出年金など、見えにくいけれど大きなメリットがある制度も。 「給与明細に載らない価値」も、見逃さないようにしたいですね。

4. 長期的視点での資産形成と保険の活用

将来の支出に備えるという意味では、NISAなどの投資制度も有効ですが、保険もまた大切な選択肢のひとつです。

最近は「保険は見直して削減すべき」という意見も多く見られますが、保険は“万が一”のときに、自分では賄いきれない大きな支出を肩代わりしてくれる存在。 特に医療や介護、死亡保障などは、いざというときに家計を守る大きな力になります。

また、若いうちに加入すれば保険料が抑えられ、健康状態によっては将来加入が難しくなることもあるため、早めの備えが功を奏すことも。 保障だけでなく、貯蓄型保険や外貨建て保険などを資産形成の一部として活用することも、長期的な視点では有効な選択肢です。

保険は「ムダ」ではなく、「自助努力のひとつ」。 自分や家族のライフプランに合わせて、“削る”ではなく“活かす”視点で見直すことが、これからの時代にはより大切になってくるかもしれません。

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