
旅行が趣味、という人は多い。 私もそのひとり。 国内も海外も、時々旅をしてきた。
ふと、自分の中で「ベスト5」を考えてみた。 5位は倉敷、4位は沖縄、3位は金沢、2位はアメリカ、そして1位は新婚旅行で訪れたニュージーランド。
今日は、その中でも第2位のアメリカ旅行について書いてみたい。
あれは、まだ20代そこそこ。 会社勤めを始めて間もないころ。 先輩2人と同期1人、うら若き女性4人での企画した旅だった。
サンフランシスコから始まり、 マイアミ、キーウェスト、フロリダのディズニーワールド、 ニューオリンズ、そしてニューヨークへ。1週間ちょっとの、まさにアメリカ横断の旅。
今思えば、会社もよく休ませてくれたものだと思う。 サンフランシスコでは港でクラブを食べ、ケーブルカーで坂道を上って観光。 マイアミではビーチでのんびり。 でも、警備員さんに「治安が良くないから気をつけて」と言われて、 少し背筋が伸びた。
マイアミからは、セブンマイルズブリッジをドライブ。 極上の海を見ながら、ヘミングウェイで有名なキーウェストへ。 人気の牡蠣を生で食べて、私だけが体調を崩してしまったのも、今では笑い話。おしゃれなTシャツ屋さんがいくつかあったかな。
そこから先輩たちと別れて、 同期の友達とふたりで憧れのディズニーワールドへ。 現地の子供にアジア人だとからかわれたこともあったけれど、 私は英語が得意ではなかったから、あまり気にしなかった。 ディズニーランドにはないプールに行けただけでご機嫌。でも、友達は相当カチンときていた。
その後、ニューオリンズへ。 船に乗って、ミシシッピ川を渡り、街並みを楽しみ、 自分で調合する香水を作った。 あの街の空気は、今でもふわっと思い出せる。夜遅くまで窓を開け放したあちこちのカフェの中から音楽が流れてきていて、それは夜更けまで続いていた。
そしてニューヨーク。 カリブ海に行っていた先輩たちと合流し、 会社の駐在員さんのご自宅に招かれてごちそうになった。 ブロードウェーも現地でCATSのチケットを買って観た。
忘れられないのはディズニーワールドで買った、同期と色違いのミッキーのロングTシャツを着て、 ニューヨークに降り立ったとき、 現地の子供が「Mickey Mouse!」と叫んだ。 思わず笑みがこぼれ同期と見つめ合ったあの瞬間を、今でも鮮やかに覚えている。
とにかく、盛りだくさんで、 すっごく素敵な旅だった。
まだ若かったから、感受性も高くて、 見るもの、触れるもの、すべてがきらきらしていた。
その旅のあと、 同期の友達は自分の英語力を見つめ直し、 会社を辞めて、単身カナダへ渡った。結果、外資系の航空会社に勤めた。
一方の私は国内企業で英語とは無縁の仕事をしている。同じ旅をして、同じ景色を見て、 同じ経験をしたのに、 その後の道は分かれた。
私はあの旅が人生にどう影響したかと聞かれると、 正直、はっきりとはわからない。
でも、ただひとつ言えるのは、 「あのとき行っておいて、本当によかった」ということ。
英語上級者の先輩たち、中級者の同期、 そして若さという勢いがあったからこそ、 あんなに思い切った旅ができたのだと思う。
還暦を迎えた今、 あの旅の記憶は、 まるで陽だまりのように、 私の中であたたかく光っている。
久しぶりに同期の彼女に連絡をして、『あの旅は本当によかった、ありがとう』とお礼を言おうかな。
















