
今日はカメさんのお話です。
森のはずれに、毎日少しずつ道を作るカメさんがいました。 誰も気づかないくらい、ゆっくりと、でも確かに進んでいくその姿に、森の仲間たちはいつしか安心を覚えるようになりました。
ある日、カメさんは道づくりをやめることにしました。 理由は、風の向きが変わったから。
「このまま進むと、風に押されて、ぼくの歩幅じゃなくなっちゃう。」そう言って、カメさんは道具をそっと置きました。
それは逃げることじゃなくて、自分の歩幅を守るための選択。
そして今、カメさんは新しい場所で、また少しずつ道を作り始めています。
だれかのペースじゃなくて、自分のペースで。
進むことより、歩幅を守ることが、ほんとうの強さかもしれません。















