
病気で働けなくなったとき、私たちの生活は大きく揺らぎます。 医療費の負担だけでなく、収入の減少や退職という選択が現実味を帯びてくるからです。
一昨日・昨日と、乳がんを例に医療費の話を深めてきましたが、 今日はその先にある「退職」と「制度の支え」について見つめてみました。
🧭退職理由の統計と実感の差
厚労省の統計では、病気による退職は全体の約1.8%。 しかし、がん罹患後の退職率は約20%以上という調査もあり、 この差は、まるで「地図に描かれた小さな池が、実は地下水脈につながっている」ようなものです。
🧭病気で勤務できない場合の支援制度とそのつながり
病気で勤務できなくなった場合、制度を活用することで約2年間の生活支援が可能になることもあります。 ただし、それぞれの制度には条件やタイミングがあるため、流れを理解しておくことが大切です。
① 傷病手当金(健康保険)※:最長1年6ヶ月 ② 受給期間延長申請(雇用保険):最大3年まで失業手当の開始を延期 ③ 失業手当(雇用保険):働けるようになったら受給開始(最大330日)
この流れは、まるで「雨宿り→地図の確認→再出発」という森の旅のようです。
そしてこれらは非課税です。
※月収30万円の方が傷病手当金を受け取る場合、 支給額は月約20万円前後になります。 これは、標準報酬日額の約2/3が支給される仕組みによるもので、 収入がゼロになることを防ぎながら、療養に専念できる制度です。 ただし、支給開始には連続3日間の待期期間があることや、 退職後も条件を満たせば継続支給される場合があることも、 事前に確認しておくと安心です。
🍁民間保険の活用
公的制度が支えてくれるのは“医療費の一部”と“短期的な生活支援”。 そのすき間を埋めるのが、民間保険の役割です。 医療保険は日々の支出に、がん保険は治療初期の不安に、 就業不能保険は長期の収入減に、それぞれ異なる角度から支えてくれます。 自分の生活スタイルに合った保険を選ぶことが、 制度と実感のすき間を埋める一歩になるのかもしれません。
これらの保険は、契約者・被保険者・受取人がすべて本人であれば、 給付金に税金はかかりません。 つまり、“いざというときにそのまま使えるお金”として備えることができるのです。 制度と制度のすき間を埋めるだけでなく、税制面でも安心できる仕組みになっています。また、医療保険、がん保険は年末や確定申告で医療費控除を受けることもでき、家計を守る一助となります。
🍁まとめ
病気による退職は、統計では小さく見えても、 実際には生活の転機として大きな影響を持つことがあります。 制度の支えを最大限に活かすには、“つながり”と“タイミング”を知ることが大切。 そして何より、制度の外にある実感や不安に目を向けることが、 本当の意味での「支え」につながるのではないでしょうか。













